佐藤社長のご経歴を教えてください。
高校卒業後、陸上自衛隊に入りまして、8年間、26歳まで所属していました。
その後、写真業界に飛び込み、2年間、自分自身もカメラマンをやりながら、業界のイロハを学びつつ、ほぼ全部のジャンルは撮ったんじゃないかというくらい、写真も多く撮りましたね。
もともと起業するつもりで自衛隊も辞めてフリーになったので、その2年間の勉強期間を経て、28歳の時に起業しました。 その後は4年間、個人事業主としてハッピースマイルを創業して、2012年に株式会社ハッピースマイルに法人化したという流れになります。
陸上自衛隊から写真業界に飛び込むきっかけは何だったんですか?

もともと、自衛隊には中学校くらいの頃から入隊したいという思いがあったんですよ。
その頃から、何か自分の中で将来サラリーマンをしているイメージがなくて、自分のやったことに対して、ありがとうって言ってもらえる仕事が出来ないかなって思っていたんです。
おそらくそれが自分の中の働く原動力なのかなと思っていて、そうなった時に、ありがとうって色んな種類があると思うんですけど、最上級のありがとうって何かなって考えたんですよね。
そうすると、死ぬか生きるかを助けてもらった時のありがとうが、一番最上級じゃないかなっていうところにたどり着いたんです。
当時、1995年に阪神淡路大震災があって、テレビで色々報道されていた中で、自衛隊が災害派遣で活躍しているニュースが日々流れていたんです。
それを見て、自分の中ではその自衛官たちがヒーローに見えて、自分も災害派遣に行きたいと思って、自衛隊に入隊することにしたんです。
そうはいっても、いざ自衛隊に入り組織に属すると、いろんな裏が見えてくるわけなんですよね。
こんな感じなのか、みたいなのが色々あって(笑)
そんな中、当時まだフィルムの写真自体にはあまり興味は持ってなかったんですが、世の中に初めてデジタルカメラというものが発売されたんですよ。
SONYのサイバーショットというカメラがあって、300万画素でテレビCMをやるくらいの時代だったんですよ。今では考えられませんが、300万画素登場!みたいなね(笑)
発売されたときに、自分が撮ったベストショットだけをプリントできるというところにすごく効率性を感じて、デジカメを買ったんです。
それで当時、自衛隊の行事で頑張っている自衛官の様子を撮影し、プリントしてプレゼントしたんですよ。
すると、その人がめちゃくちゃ喜んでくれて、こういうありがとうも良いなって思って。
それまでは災害派遣に行きたい、ありがとうをもらいたいっていう気持ちでやってきたんですが、自分の中でひとつ葛藤していた部分もあって、それは何かというと、日本で悪いことが起きないと出番がないというところだったんです。
別に自分の中で悪いことが起きて欲しいわけではないんですけど、でも起きないと自分の思いは叶えられない、みたいなね。
そうなった時に、何かを待つんじゃなくて、自分で生み出せるありがとうって良いなって思ったんですよ。
それが写真の持つ力だなと思っていて、写真を渡したときにもらえたありがとうが、自分の中では本当にすごく衝撃で。
本当に欲しかったありがとうって、自分で作り出せるありがとうだったんだなと思って、写真業界に行こうって決めました。
素敵なお話すぎて、本当に多くの方にお読みいただきたいです。自衛官を志すきっかけも、そんな小さい頃から信念を持たれていたんですね。
今、御社には何名くらい従業員さんがいらっしゃるんですか?
今75名ほどで、もうすぐ新卒が6名入社してくるので81名ですね。
従業員さんたちに快適に働いてもらうために、佐藤社長が心がけていることは何かありますか?
職場の環境づくりというところで、まず昨年の9月に移転をしたんです。
サービスを提供している側の質も高まらないと、良いものは提供できないと思っているんで、そういう意味でも働く環境ってすごく大事だなと。
例えば福利厚生のひとつで社内にジムがあったり、夜お酒が飲めるバーカウンターがあったり、滝が流れていたりとか。

ちょっとちょっと、話がすごすぎて追いつかないんですけど…(笑)
健康経営というところに力を入れているということもありまして、あとは社長のおごり自販機というものもあるんですが、これは従業員同士が社員証をもって自販機にかざすとジュースが1本無料になるという福利厚生なんですよ。
これはコミュニケーションを促進させるというひとつの仕組みではあるんですけれども、ひとつだけルールがあって、「同期禁止・同じ部署禁止」というもので、違う部署の同期以外の人を、自分から声をかけて誘わなくちゃダメなんです。
そうすると、まずは声をかけるきっかけが生まれるんですよね。 敢えて自販機を働いている場所から遠ざけて設置しているので、自販機に行くまで二人で歩いて行かなくちゃいけないんですよ。
めちゃくちゃ考えて設置されていますね(笑)社長のおごり自販機って、たまにお聞きすることもありますが、ここまで考え抜かれた仕組みは初めてです!

他にはないと思います。自信あります(笑)
なのでそういう取り組みをやっていたりとか、あとは自分でいうのも恥ずかしいですが、結構従業員みんな会社のことが好きな人が多いので、テレワークがいないんですよ。
以前コロナのときにテレワークもやってみたんですが、一週間くらい経つと、いつ出社出来るんですか?と聞いてくる従業員ばかりで(笑)
仕事の生産性とか情報共有っていう視点でみると、やっぱりテレワークは難があるなと思っていて。
本当に自立できていて、自らコミュニケーションをとる能力がある人であれば成り立つとは思うんですけど、主体的に動けない、議論するスタートを作れないという完全に受け身な人には、テレワークは完全に機能しないだろうなと。
あとは、テレワークだと、細かい部分が分からないから、しっかりしたケアがしてあげられなくて、結局心が離れていくというか。
一緒に働く良さ、チームワークというところを大事にしているので、皆さん会社に来るのを楽しみにしてくれている方は多いです。
今までのお話から、皆さん佐藤社長に会いたいんだろうなということが、すごく分かります。
スーパーポジティブなんで、歩くポジティブって言われてます(笑)
自分が社員と接する中で、ひとつ軸としてもっているところがあって、すべての人に可能性があるっていう風に思っているんですね。
社員からネガティブな発言があったとしても、それってこう考えたらそうじゃないよね、みたいなポジティブ変換をよくしているので、話し終わった社員は、「なんか出来そうな気がする」と言って部屋から出ていくことが多いです。
本当にそんな社長のもとで働きたいですよね。皆さん、出社したがる理由がよくわかります。
では次に、佐藤社長が大切にされている言葉や、尊敬されている方はいらっしゃいますか?
言葉でいうと、わたしの考えた言葉にはなるんですが、「成功の反対は挑戦しないこと」ということですね。
失敗って思うことでネガティブに思うだろうし、失敗を恐れて結局何もできなくなるので、そうではなくて1歩目を踏み出さなければ何もはじまらないよね、っていうところが自分の中にもありますね。
先駆者として一歩目を踏み切るというか、ファーストペンギンになるっていうのはすごい重要なことだなと思っているので、その言葉が自分の中で一番ではありますね。

あと、尊敬する方に関しては、自分が起業を考えて会社を組織にして大きくしようと思った大きなきっかけは、サイバーエージェントの藤田さんなんですよ。
当時、あの方の出されていた本のひとつに、「渋谷ではたらく社長の告白」というのがあって、そこに創業時から色んな人に裏切られた話とか、騙された話とか色々な話が書いてある中で上場に向かっていくという流れが赤裸々に書いてあるんですけど、それを読んだときに、自分の中でこういう道もあるのかと気づかされた部分があって。
当時は、個人事業主も法人も何が違うかすらわかっていなかったんですよ。
その中で藤田さんの本にも出逢い、会社のことを知り、すごいなって思って、自分の中では色んなきっかけをくれた方なので、以前お会いさせて頂いたときはすごく嬉しかったですね。
ありがとうございます。では次に、会社を経営されてから苦労されたことや、困難だったことはありますか?
会社を経営する上で、ヒト、モノ、カネ、情報という4つがポイントかなと思いますが、やっぱり一番コントロールできないのはヒトの部分だと思うんですよね。
お金とかサービスは、経営者が走り回って何とか出来る部分も多いんですけど、ヒトに関しては相手にも心があるので、本当に難しいなと思います。
特にその中でも、組織が大きくなる中で、例えば10年前に入社した人が、今の同じ状況でやっていけるかというと、そうではないんですよ。
それは会社が成長している証拠でもあるし、そのフェーズそのフェーズで必要な人って変わるなと思っているんです。
一番最初の立ち上げ期であれば、0→1を楽しめる人じゃないと話にならないし、雇用契約上は月曜から金曜までの就業かもしれないけど、土日も全然やりますよという気概を持っている人ですね。
次にそこからサービスが形になって世の中に提供し始めるとなったときに、今度は先ほどの気持ち以外の部分で、例えばルールを守るとか、そういうことが必要になってきたりするんですよね。
そうすると、ルールを守るというフェーズに会社が移行したときに、当初のメンバー的には少しやり辛くなった、前の方が良かったと考える人も少なからず出てくるわけですよ。
でもそれは、会社が成長する上で仕方ないことだと思っていて。
これに関しては、上場した企業の社長さんともよく話している中で、創業メンバーは絶対にいなくなるという話をよく聞くんですよ。
それは変化に対応できる社員であれば一緒に来てくれると思うんですけど、だいたいはそうではない方が多く、自分の考える正しさと、会社が次のステージにあがった時の正しさにずれが起きるので、そこで文句と愚痴が始まってしまって。
なので、会社が成長している過程で、こういった人の出入りがものすごく起きるので、それが一番大変ですね。
ただ、こんな時に大事なのが、会社のビジョンとかミッションとか、どこを目指して走っているのかという最適解を見つけることだと思うんです。
それを基準に会話ができると軸が通っていて、経営者も社員も迷わないですから。
そういうことも含めて、やっぱりビジョンやミッションというものは、必ず作っておいた方が良いよと、起業される方々には伝えています。
今でも何が正しかったのかわかりませんが、それが経営の面白いところでもあるのかなと。
16年も会社が続いていたら、色々とありますよね…。

そうですね。
あと、当時は入社後に教育すれば何とかなると思っていたんですよ。最初はスキルが無かったとしても、会社の思いやビジョンを伝えていけばどんな人でもやっていけると思っていたんですが、数年やって分かったことがあって、それは無理だなと。
入社してからじゃなくて、入社前に判断しないといけないということに気づいたんですよね。
入社する際のフィルターをどうにかしなきゃなと思って、今、新卒の面接は5次面接まで用意してるんですよ。5次までやっている会社でベンチャーというのもなかなかなくて。
自分で考える力を持った人に来てもらいたいと思っていたので、5次面接も、全部面接ではなく課題なんですよ。
例えば、「会社と社長にキャッチコピーをつけてください。その理由も説明してください。」みたいなものとか。
正解の無い中で、どのような最適解を導くかという選考が5次まで続くんですよ。
そういった選考を突破した人に内定を出すので、同じ内定でも少し重さが違うと思うんですよね。
なので、嬉しいことに内定辞退率も0%で、全員入社してくれています。
それもすごい話ですね。勉強になるお話ばかりで、ただただ驚きの連続です!
ありがとうございます。
では次が最後のご質問になりますが、佐藤社長が最近購入された一番高いものは何ですか?
最近買った高価なもの…。最近買ったやつ…。何だろう…?
ものというよりかは、人のために何か使えたら良いなっていう感覚になってきたんですよね。
あー、もう、これもまた素敵すぎる回答ですね(笑)
例えば家族と食事に行ったときに、家族の笑顔が見れたらそれで良いやって思ったりっていうのはありますね。
やっぱり、何か人のために使うことが多いかなと思います。
人としてしっかりされている社長さんは、やっぱり皆さんその境地に辿り着かれるんですかね。この質問、次回からはもうやめておこうかな(笑)
成金みたいな方でしたら、時計とか車とかあると思うんですけど、事業をやってきて紆余曲折する中で今に至っているので、お金の大事さみたいなものを身に染みてわかっているというか。
散財するっていうことの怖さもあるなと思いますね。 それこそ起業したいという方が相談に来られることもよくあるんですけど、そういう方を少し高めのお寿司屋さんに連れて行ってご馳走してあげるとか、これから頑張ろうとしている若者が好きなので、その背中を押して、自分がその方の人生の分岐点になれたら、それほど嬉しいことはないですよね。
これを記事にすると、起業家志望の若者がますます佐藤社長のもとへ相談に来てしまうかもしれませんが、大丈夫ですか?(笑)
本当ですね(笑)
そうなると、だんだんお店のグレードが下がって安くなっちゃうかもしれませんけど(笑)
でも本当に、起業したいという方から定期的にお声かけ頂くんですけど、起業するにあたってたくさんの不安要素がある中で、こうやって教えて欲しいと声をかけるっていう行動力が良いなって思うんですよ。
声をかけてもらったからには、意味がある時間にしたいなって思うので、だいたい半日とか話してますね(笑)
それはもう、有料のセミナーレベルですね(笑)
なので午後の1時頃から夕方6時頃まで話して、終わったらお寿司屋さんに連れて行ってみたいな感じですね。
その後、こんな事業やることにしましたっていう報告があったりするとやっぱり嬉しいですし、そうなると自分が居た価値があったかなと思うので、そこにお金は必要ないですね。
自分のアウトプットの機会にもなるので、ありがたいですよ。
なので、買ったものとかはなくて、質問の回答にもなっていないかもしれませんが、ごめんなさい。
いや、こちらこそ野暮な質問をしてしまってすみません(笑) 本日はオンラインによるインタビューでしたが、またいずれ御社にご挨拶に行かせていただきたいと思いますので、その時はお寿司ご馳走になりますっ!(笑) 本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。引き続きXでもよろしくお願い致します。
会社の近くにおいしいお寿司屋さんがあるので、是非ぜひ(笑)
こちらこそ、本日はありがとうございました。